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理屈と背景で理解するNISAの重要論点

 NISAは、FP試験に頻出の論点です。特に、2級以上になるとNISAで丸々1問出題されるので、たくさんある論点をきちんと理解しておかなくてはいけません。
 ただ、丸暗記するのは流石に非効率ですし、勉強する意味もないですから、きちんと理屈や背景とセットで覚えましょう。とは言え、そんなに難しい話でもありません。
 NISAの制度ができたのは、貯蓄から投資へという旗印のもと、「株に興味を持たなかった人に株式投資を促し、株式市場を活性化させたいから」、「長期の株式投資を通じて国民の資産形成に寄与したいから」という制度成立の背景を知っていれば、大概理解できます。


【論点1】満20歳以上から口座開設可能

 5歳の子供が株式投資なんてやりませんよね。株式投資は、ある程度の判断能力とお金を持った人でなければできないので、成人を対象とした制度になっています。


【論点2】譲渡益・配当金は非課税

 株式投資をする気になるためには、何らかのメリットやお得感が無ければいけません。どれだけ儲かっても一切税金がかからないというのは、20%課税が通常の株式投資においてはかなりのインパクトです。


【論点3】損失が生じても何も税メリットが無い

 株式投資で損をした時、通常は、インカムゲインとの損益通算や他の株式等に係る譲渡益との損益通算、3年間の繰越控除の救済がありますが、NISAにはありません。細かく覚えるより、NISAで損をすると何も救いが無いと覚えてください。
 株式投資の王道は長期投資(言わずもがな損切は非常に重要ですが…)ですから、簡単に損切りさせない事で、長期投資を促している…と、良いように解釈しましょう。


【論点4】年間投資額は120万円まで

 NISAは、これまで株式投資に興味が無かった人のための制度です。つまり、富裕層に株式投資を促すものではなく、株式投資の入口として少額の投資を促すものです。
 ゆえに、月10万円として1年分、120万円の非課税枠が与えられています。


【論点5】未使用枠の繰越しはできない

 今年50万円しか投資しなかったので、未使用枠70万円を持ち越して来年190万円まで投資できる…なんて話はありません。
 さっさと株式市場に資金を流入させたいので、枠を使い切らないと損な仕組みになっています。


【論点6】株式を売却しても投資枠は復活しない

 NISAは、回転売買をするデイトレーダーを応援するものではなく、株式の初心者に長期投資を促すものです。ゆえに、年間の非課税枠120万円というのは、年間に買い付ける事ができる金額の上限です。


【論点7】非課税期間は5年

 NISAの目的は、株式市場の活性化です。なので、長期投資を促しつつも、本音としては、買ってからノータッチ(いわゆる塩漬け)ではなく、売買を行ってほしい訳です。
 そこで、5年以内に売ってくださいねというメッセージを打ち出しています。


【論点8】非課税枠のスライドが可能

 5年の非課税期間が終了したのち、翌年の非課税枠を使って非課税を継続する事ができます。
 健全な株式投資を促すためには、税制が売却判断の材料になってはいけません。だから、株式等に係る譲渡所得には、他の譲渡所得と異なり長期・短期の区別が無いですし、NISAにおいても、5年以内に売らざるを得ないような制度にはしていないという事です。


【論点9】公社債等に投資する事はできない

 NISAは株式投資を促す制度です。故に、国債、社債、公社債投資信託、外貨預金等に、NISA口座を通じて投資する事はできません。株式市場が活性化しないと考えれば当たり前ですが、苦手にしている方が多い論点のようです。


【論点10】同年に複数の金融機関で口座開設する事ができず、1年単位で金融機関の変更が可能

 NISA口座を通して買い付ける事ができる金額は年間120万円までですが、複数の金融機関を通してこれを把握するのは大変です。この理屈は、財形貯蓄の1人1契約にも通じるところがあります。
 そして、投資家がいろんな商品を選べるよう、取引先の金融機関は毎年変更する事ができます。


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